APRINOIA Therapeutics株式会社は、同社が有するAPNmAb005モノクローナル抗体を用いた新規オリゴマータウ蛋白測定システムがAPNmAb005の標的分子であるオリゴマータウ分子種を検出し、同分子種がアルツハイマー病の進行に依存して増加していることを明らかにしました。

日本(東京)- 2024年12月10日- APRINOIA Therapeutics株式会社は、同社所有のモノクローナル抗体 APNmAB005を用いた新規免疫測定法(ELISA)を確立しました。同抗体は、標的分子である高分子オリゴマータウ(High Molecular Weight oligomer Tau; HMWoTau)分子種を、高い選択性のもと高感度に検出することが判明しました。また、同HMWoTau分子種は、ブラーク・ステージVおよびVIのアルツハイマー病で顕著に増加することが示されました。

APNmAb005 ELISAは臨床的に測定される低い濃度で特異的にHMWoTau (おおよそ 2000 kD) を最小オリゴマーサイズとして検出する初めての測定系です。この研究成果は、 The FASEB Journal on November 20, 2024 (https://doi.org/10.1096/fj.202401704R).

図1. HMWoTau分子種特異的 APNmAb005 ELISAは、アッセイあたり0.3 ピコグラムのHMWoTauを検出できる感度を有するものとして確立されました。アッセイあたりのヒト脳組織蛋白量が1ナノグラムからアルツハイマー病特異的なシグナルを検出できることが判りました。APNmAb005の標的分子はおおよそ2000 kDの分子量に相当するHMWoTau(直径約30ナノメートル、図1右の緑色の球状オリゴマー粒子が該当)を最小サイズとし、次に大きいタウオリゴマー分子(おおよそ、約7倍の直径と推定)であることが判明しました。ヒト脳前頭葉(ブラーク・ステージI~VI)を用いて分析したところ、アルツハイマー病のブラーク・ステージVおよびVIでHMWoTau分子種が劇的に増加することが示されました。正常対照高齢者であるブラーク・ステージIからIIIでは検出限界レベルであったことから、疾病特異的にHMWoTau分子種が産生されていると考えられます。

弊社が固有に発見した抗タウ抗体であるモノクローナル抗体APNmAb005は、そのターゲット分子のオリゴマーや凝集体に結合しますが、それらは、疾病脳組織のシナプスに選択的に局在していることがわかっています。APNmAb005抗体は、神経変性疾患においてはユニークなタウ免疫療法であり、現在、第I相試験で安全性と忍容性を確認している段階にあります。

「弊社の高感度かつ新規なAPNmAb005 を用いた免疫測定法は、タウ蛋白が関与するアルツハイマー病を含む神経変性疾患においてHMWoTau分子種の病因としての役割を明らかにするだけでなく、有力な診断薬としての展開によって、プレシジョン・メディスンへの道を切り開くことにつながるだろう。本研究は、アプリノイアの神経変性疾患へのプレシジョン・メディスンを推進するコミットメントに対する活動の証の一つになります」とアプリノイアの副社長である宮本政臣博士は述べています。

APRINOIA Therapeuticsについて

APRINOIA Therapeutics Inc.は、後期ステージのバイオテクノロジー企業であり、ファーストインクラスあるいはベストインクラスの診断薬技術および新規治療法をとおして、患者の脳疾病を守り、神経変性疾患を治療することにコミットしている会社である。同社は、プレシジョン・メディスンを神経疾患領域に導入し、タウ蛋白の凝集、αシヌクレインの凝集、あるいは、他の蛋白の凝集を明らかにし、それらを標的としている。これらの蛋白はアルツハイマー病やパーキンソン病などの多くの神経変性疾患の病因として重要な役割を果たしているものである。